近年、市販のGPS機器が手軽に購入できるようになり、配偶者や交際相手の行動を確認する目的で利用されるケースが増えています。
特に浮気調査を検討する際、「車にGPSを付ければ証拠が取れるはずだ」と考える方も少なくありません。
しかし、ここには重大な法的リスクが潜んでいます。
結論から言えば、他人の所有物に無断でGPSを取り付ける行為は、違法と判断される可能性が極めて高いのです。
特に注意が必要なのは、「夫婦なら許される」という誤解です。
例えば、夫名義の車に妻が無断でGPSを設置して行動を追跡するケース。
感情的には「家族の車なのだから問題ない」と思われがちですが、法律上の解釈はそれほど単純ではありません。
実際、GPSを用いた無断追跡については、プライバシー侵害に加え、ストーカー規制法違反(無断での位置情報取得の禁止)に問われるリスクがあります。
さらに、相手の承諾なく私物に機器を設置する行為そのものが、不法行為として賠償責任を負う原因にもなり得ます。
裁判所も昨今、「GPSによる継続的な位置情報の取得」を重く見る傾向にあります。
2017年には、警察による無断GPS捜査について、最高裁判所が「個人の行動を継続的・網羅的に把握する、強いプライバシー侵害である」との判断を下しました。
この判決は公的捜査に関するものですが、「GPS追跡は重大な人権侵害になり得る」という法理を示した点は、民間同士のトラブルにおいても非常に重要な意味を持ちます。
また、最大のリスクは、違法に取得した証拠が、離婚調停や裁判で認められない可能性があることです。
そればかりか、「浮気を疑っていた側」が逆に「違法行為の加害者」として訴えられ、不利な立場に追い込まれるケースも少なくありません。
裏切りに直面し、感情的になると、 「真実を知る権利がある」 「家族なのだからこれくらい当然だ」 と考えたくなるのは無理もありません。
しかし、法律は感情ではなく、権利関係と行為の適法性によって厳格に判断されます。
探偵業界でも、コンプライアンスを重視する事務所はGPS設置の依頼を厳しく断ります。
これは単なる慎重論ではなく、依頼者自身を法的な破滅から守るためでもあります。
浮気問題は心身を削る苦しい問題ですが、違法な手段に手を染めれば、事態はさらに悪化しかねません。
「確実な証拠が欲しい」という焦りから、取り返しのつかない一線を越えないよう注意が必要です。
まずは専門家へ相談し、正当な方法で自分を守る道を探ることを強くおすすめします。
弊社にお任せください。
